「これから頑張ればなんとかなる」声かけが効く

長年中学受験の指導をしてきて思うのは、近年受験者率が急激に上がったことで、「過剰組」と「不足組」の二極化が進んでいるように感じる。今までなら、直前期は「勉強のやらせすぎに気をつけましょう」と言い続けていたが、今年に限ってはあまりにも基礎力が身についていない子が多く、その言葉が通用しなくなっている。

では、そういう子にはどんな言葉が効くのか?

(やるべきものを提示し)「これをやり切れば、大丈夫だよ!」
(すでに諦めモードになっている子には)「さぁ、今からが本番だよ!」

と、「これから頑張ればなんとかなる」という声かけだ。そんな声かけで効果があるの? と思うかもしれないが、中堅以下の偏差値レベルの学校であれば、今からでも十分間に合う。こうした学校の入試問題は基礎問題がほとんどで、直前期に行われる入試説明会では「うちはこんな問題を出しています」と問題傾向まで教えてくれる。そこをしっかり押さえておけば、合格の可能性はまだ十分にある。大事なのは、最後まで諦めないことだ。

ビジネス目標と成功の概念
写真=iStock.com/tadamichi
※写真はイメージです

最後の最後は「親の演技力」にかかっている

わずか11歳、12歳の子供が挑戦する中学受験は、最後まで何が起こるか分からない。急にやる気を見せたかと思えば、隠れてゲームをしていたり、ここまで順調に来ていた子が、突然不調になったりすることもある。また、一度は覚えたものを忘れてしまうこともよくある。

「覚えては忘れ、覚えては忘れ」は、入試前日まで続く。ここはもうもぐら叩きのように、一つひとつ根気よく向き合っていくしかない。また、今まではできていた問題を間違えてしまうこともある。そんなときは「なんで間違えたの?」ではなく、「今、見つかってよかったね」と声をかけてあげてほしい。

ただ、そういう言葉は意識していないとなかなか出てこない。そこで、直前期に起こりがちなことを想定して、いくつかのポジティブ言葉を準備しておくことをすすめる。直前期に効く台詞として、いつでも瞬時に引き出せるようにストックしておくのだ。

最後の最後は親の演技力にかかっているといっても過言ではない。それが通用するのは、子供がまだ幼い小学生だからだ。これが中学生や高校生になると、そうはいかない。中学受験は親のサポートが不可欠といわれる所以は、こんなところにもあるのだと思う。

(構成=石渡真由美)
【関連記事】
2024年度中学入試で難度が上がりそうな中堅8校の名前…過熱受験で偏差値45~55の中堅層が"全落ち"防ぐ方法
「小3でつるかめ算を先取り」は危険行為…算数が苦手な親ほどやらかす子供の力を奪う"間違った教え方"5つ
小6の43%が誤答「8人に4Lのジュースを等しく分けると1人何リットル?」迷いなく8÷4と立式する子への教え方
なぜ子供は「親の財布からお金を盗む」のか…なんでもウソでごまかす子供を一変させる"最高の一言"
小6から不登校になり家でゲームをしていた男子が精悍な高校生に…10代前半に不足していた"栄養素"とは